MOSS WALL
苔をキャンパスに。
ペインティングや造形の技法で新しい造園の価値観を表現する。
人は年輪をかさねるごとに魅力的になる。
庭もそうなれないだろうか。
庭はパソコンや工場ではつくれません。
手作業で土を耕し、水をあげて植物を育てます。
ときにはいびつな石を組み合わせたり。
四角四面ではない石だからとても時間がかかります。
雨の日は泥まみれになったりと。
でも草花はかけた手間暇にこたえてきれいな花を咲かせます。
庭は人の生業を映しだす。
歴史をたどれば、宗教的、権力の象徴として自然を抑制し理想の庭園を再現しました。
しかし、自然は人智を超えていきます。
その中でも苔や石は見る人に時間を感じさせてくれます。
それは何億年とかけて形成された石や太古の昔から存在する苔に
時の移ろいがしみ込んでいるのかもしれません。
苔を用いたモスアートや石積みは素材を巧みに使うことで
古いものを新しいものに置き換えます。
ふだん、どんなに時間に追われているかは、庭の前に立った時にふとわかる。
苔のむすさま、石のさび、庭をつくるには丁寧に丁寧に手間をかけ、時を詰め込みます。
時の移ろいの中には良いことも時には悪いことも含まれます。
そんな庭の良さがあなたにも知ってもらえたら、うれしい。
杉田悦朗 造園家
1976年生まれ
大阪府 千早赤阪村出身
京都造形芸術短期大学 ランドスケープデザイン学科 卒業(現・京都造形大学)
大学卒業後、造園会社にて職人として修業し、庭園の設計業務にも従事する。
2001年、苔をキャンパスがわりにしたMOSS WALLを発表し注目を浴びる。
作品は公募展に多数入選し関西のホテルなどに常設展示される。パリで行われた第1回パリ100人展では3位となる。
2006年、シンプルを追求したMINI SCAPEを発表する。
ヨーロッパ各地のアートフェアーに出品し、盆栽を再発明したと好評を得る。作品はParisのArtcurialにても販売された。
2007年から滋賀県琵琶湖の湖畔に足掛け3年を費やし、1000坪を超える琵琶湖と一体化した大庭園造営を行う。
2016年、記録として撮影し続けた庭園写真をフランスのPalisにて写真展『SILENT』を行う。
2018年、京都で行われたJR東海のモシュ印キャンペーンで苔の御朱印を制作する。
庭づくりの活動だけにとどまらず、庭園の魅力を苔や写真の作品で表現する。
造園の伝統文化のカタチをただ真似るのではなく伝統文化の精神をすくい取り現代にいかす活動に取り組む。
苔をキャンパスに。
ペインティングや造形の技法で新しい造園の価値観を表現する。
創造力の想像力。
盆栽をさらにミニマムにすることで抽象化させ、小さな宇宙の枠をさらに広げた作品。
苔ひとつひとつは小さくても組み合わせることで可能性を導く。
時間とともに味わいを増す庭。
ただ古いだけでなく年月を積み重ね、手入れを楽しみ、変化していくさまに美しさを見出す。
賢古考新。
たかが石、されど石は数世紀にわたり人の生活を支えてきた。
その伝統を継承しつつ新しい石の魅力と人の歴史を探求する。
杉田悦朗へのお問い合わせ、ご質問は、下記のメールアドレスまでお願いします。